今回は文献の紹介です。ICUでよく利用される注射剤の配合変化早見表を作成した文献を見つけたので紹介します。
特にICUを持つ病院勤務の薬剤師であれば、データとして持っておくべき文献だと思います。
先に配合変化についてまとめている文献をリストします。
集中治療室における注射剤配合変化早見表の作成と有用性の評価
九州大学病院薬剤部 石田 茂ら 医療薬学 2016, 42(4), 286-294.
ICUにおける注射剤配合変化早見表の作成とその有用性の検討
北里大学北里研究所病院 阿部 真也ら Jpn. J. Drug Inform. 2012, 14, 75-81.
集中治療部における注射剤配合変化回避に向けた取り組み
島根大学医学部付属病院薬剤部 岡田 晴江ら 医薬ジャーナル 2011, 47, 800-806. (有料)
ICUで頻用される注射剤一覧
初めに今回はICUということで、ICUでよく使われている注射剤についてまとめてみたいと思います。
Check Point!!
・気管挿管用
プロポフォール、キシロカイン、ミダゾラム
・鎮痛沈静
デクスメデトミジン、ハロペリドール
・筋弛緩
スキサメトニウム、ベクロニウム、ロクロニウム
・昇圧剤、強心剤
(ノル)アドレナリン、ドブタミン、ドパミン、ニコランジル、ミルリノン
・降圧剤、利尿剤
フロセミド、カルペリチド、ニトログリセリン
参考にした文献
ICU向け注射剤配合変化早見表
文献中で紹介されている、注射剤配合変化早見表の例を以下に示します。
集中治療室における注射剤配合変化早見表の作成と有用性の評価より引用
この表の特徴としては、pHを記載していること、医薬品の縦並びが薬効順であることです。
これにより、表のゾーンを覚えていれば探しやすく、代替薬も検索しやすいのではないのでしょうか?あくまで私の意見ですが…
注射剤配合変化の化学的要因
Science Point!!
・中和反応
・官能基どうしの反応(アルデヒド+アミン など)
・難溶性の塩の形成
医薬品は本来有機分子であり、脂溶性の化合物ですが、極性官能基(COOH)などを導入し、その塩(COONa)にして、無理やり水溶性を付与しています。これが中和されてしまうと、塩から単なる有機分子に戻り、沈殿したりしてしまいます。配合変化でpHを意識することはとても大切です。強塩基や強酸の製剤はすぐに配合変化を起こしてしまいます。