花粉症の対策方法や薬物治療について解説します!
理系とーくの方で一般向けの記事を書いていますので、覗いてみてください。
ここで書く内容は、医療専門家向けコンテンツになります!!
花粉症とは
花粉症とは…
花粉症とはアレルギー疾患の一種です。アトピーとか蕁麻疹とも根本的には同じアレルギー疾患となります。分類としては1型のアレルギー(1-5型まであります)に属しています。今回の記事ではこのアレルギーの分類については省略します。
そもそもなぜ花粉症になるのか…………本来、自分を守るための防御機構が本来敵として標的にするべきでないものに対して機能してしまうのです。
まず免疫がどんな働きをしてるかですが…
免疫の本体は、免疫細胞(マクロファージ、好中球など)です。普段、体に侵入した異物(ばい菌、化学物質、タンパク質など)を、免疫細胞が、処理しています。この免疫細胞は、普段、血液中つまり血管内に存在しています。異物は血管の外によく存在しているため、血管を拡張させ、免疫細胞を血管の外に送り出す必要があります。これが、腫れとして現れます。
皮膚の腫れが、湿疹。鼻腔の腫れが鼻づまり。目の血流増加が充血。となります。
原因物質がいるところが特に強く腫れてしまいます。花粉症で鼻が腫れる(つまる)のは、花粉を取り込んでしまった鼻に、血液つまり血球が集まってしまうからです。
本題にも戻りますが、花粉症になるのはなぜか?ということですが…
花粉症は、体が花粉を異物(外敵)と見なしてしまうことで発症します。
花粉症の治療薬
花粉症に最もよく使われるのが、「抗ヒスタミン薬」です。(詳細はリンク先の過去記事を)
眠くならない抗ヒスタミン薬
抗ヒスタミンの歴史は古く、旧型の第一世代やアゼラスチン、ケトチフェン、オキサトミドは中枢神経系に薬がたどりついてしまい、眠くなってしまいます。
しかし、最近OTCでも販売されている
フェキソフェナジン(アレグラ)、エピナスチン(アレジオン)などは脳にたどりつかないため、ほとんど眠くなりません。この二つは、セルフメディケーション税制の対象商品であり、お勧めです。
眠くならないということであり、眠い人を起こす活性はありませんのでご注意を。
アレルギー薬は、症状が出る2週間前から服用すべし
これらの薬は、花粉が飛んでるシーズンは定期的に服用することで最大の力を発揮できます。
二世代目の抗ヒスタミン薬には、抗ヒスタミン作用とケミカルメディエーター遊離抑制作用があります。このケミカルメディエーター遊離抑制作用は、飲み始めて、作用が発現するまで2週間かかります。なので二週間前からの服用をお勧めします。
理由は、これらの抗ヒスタミン薬の作用機序は、花粉を免疫細胞の一種である肥満細胞(マスト細胞)がキャッチして、ケミカルメディエーター(サイトカインを含む)を出す段階をブロックするというものです。
つまり、花粉を肥満細胞がキャッチして、ケミカルメディエーターを放出してから飲んでいたら遅いのです。
また血中濃度を一定に保つためにも、定期的に飲んでいただきたいです。「今日は花粉が少ないから飲まない」ってことは避けたほうがいいです。
花粉を科学的に理解して予防しよう
この花粉症を制御するためには、花粉の性質を知ることがとても重要です。埼玉大学の 王 青躍 先生 のグループが花粉に関する研究報告を行っているのでその報告をベースにして紹介させていただきます。
Science Point!!
1:花粉は水分やミネラルとの接触で破裂し、アレルゲン放出
2:表面は塩基性タンパク質
元文献はこちらです
テレビドラマのシーンで「子供のアレルギーがひどいから田舎に引っ越してきた」という設定が時々ありますよね???
でもよく考えてください!!
都会と田舎で花粉が多いのってどっちでしょう?そう、木が多い田舎だと思いませんか???
都会の花粉は危険!!!!
実は、花粉症になりやすい花粉となりにくい花粉があります。
花粉症になりやすい花粉というものは…汚れた花粉です。汚れた花粉は、人体が外敵と認識しやすくなってしまいます。
都会の上空には、PM2.5など多くのダストが俟っています。これが悪さをして今います。ダストが花粉とくっつくと、アジュバンド効果により抗原性が強くなってしまいます。これにより、花粉症にかかりやすくなってしまいます。
当然、汚れていない花粉でもなり得ますのでご注意を。
実際の映像がありますので載せておきます。文献から引用した写真ですが、花粉の表面に大気中のダストが付着していることが確認できます。
-スギ花粉由来エアロゾルってどうなっているの?-より引用
このように、大気が汚い都会の花粉は、汚染されています。
都会に住んでる人や、高層ビルに住んでいる人は、花粉症になりやすいとされています。
花粉は水分やミネラルとの接触で破裂し、アレルゲンを放出
ところで。
花粉症の予防として、加湿は効果的だと思いますか?
風邪の時は、ウイルスを飛ばさないために、よく加湿しますよね?
答えは下の内容を読んでください。
風邪などのウイルスの時は加湿して、飛散を防ぎますよが、花粉は水分と接触すると、破裂して逆にアレルゲンが増えてしまいます
春の雨上がりに花粉症の症状が強くなるのもこれが原因です。
ところで、花粉が吸湿することでどのようなことが起きているかを示していきます。
はじめに花粉の構造です。これを知っておくことが重要ですね。
花粉のアレルゲン(花粉症の原因物質)ですが、Cry j の1と2があります。Cry j 1は花粉の表面に、Cry j 2は花粉内部に、存在しています。花粉が破裂すると、花粉内部のアレルゲンも飛び出してしまいます。
-スギ花粉由来エアロゾルってどうなっているの?-より引用
花粉は水分で、破裂してしまいます。下の図は、花粉を高湿度にさらした実験画像です。Aが本来の花粉であり、湿度100%では4分程度で花粉が膨張し、最終的にEの様に破裂します。
-スギ花粉由来エアロゾルってどうなっているの?-より引用
このような実験結果を見ると、花粉の除去は、加湿をせずにフィルターで除去することが理想と言えそうですね。
表面は塩基性タンパク質
また、花粉の細胞壁表面に塩基性タンパク質が存在しています。
つまり、表面は(+)に帯電しやすくなっています。
そこでマイナスイオンです。マイナスイオンが花粉と花粉の(+)を中和して、吸着させ飛散を防ぐことが期待されます。
実際にこの性質を活かした対策グッズがあるようです。
花粉症を予防するには?
やはり効果的な対策は…うがい手洗い、鼻洗い、マスク装着。
私は花粉症ではありませんが、花粉症になりたくないので、花粉が飛ぶ時期は、マスクを装着しています。マスクの使用で、吸入する花粉の量は三分の一になるといわれてます。
花粉症の人も、そうでない人も、マスクの着用が必要ですね。
花粉症の治療・予防を心がけていきましょう!!
読んでいただきありがとうございました。
関連ページを見つけたのでリンクしておきます。
・季節と花粉の種類 花粉 時期 季節
[http://www.kafun-now.com/knowledge/01.xhtml]
・第34回酸性雨問題研究会シンポジウム
-スギ花粉由来エアロゾルってどうなっているの?-