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異物の誤飲

2018年06月06日

「爪楊枝(つまようじ)を呑み込んだんですよ…」(23歳 男性)

研究室の後輩から受けた衝撃の告白…!!
爪楊枝を呑み込む。その大きさからは、なかなか考えることができない誤飲ですよね??
なぜこんなことが起きたのでしょうか?理由を聞いてみると…

「いや、バーベキューをしてたんですよ。その時にスライスされた玉ねぎを、肉に包んで食べてて、野菜にしては固いな…と思ったんです。吐き出したら、爪楊枝が0.8本出てきて。でも実は爪楊枝が2本あったみたいで…」
1.2本の爪楊枝を飲んでしまったようです。

今回は誤飲をした時の対処について

書いてみようかなと思います。

Check Point!!
・意外と誤飲される爪楊枝
・消化管穿孔、消化管閉塞が生じ、時に外科(開腹)的な除去が必要
・PTP包装、電池、磁石、タバコ、硬貨、ヘアピン、画鋲が飲まれやすい

症例を調べてみました。以外と爪楊枝の誤飲は多いようです。しかも、その形状から消化管に引っかかりやすく、外科的な処置に発展する例が多いみたいですね。
2006年の報告ですが、爪楊枝を誤飲した症例は23例程あると記載されている文献がありました。(保存的に治療した十二指腸球部に刺入した爪楊枝の一例爪楊枝誤飲による小腸穿通の1例)(保存的に治療した十二指腸球部に刺入した爪楊枝の一例)より

このデータから見るに、爪楊枝は特に胃につまり易いようですね。胃の場合は内視鏡で何とかなる場合もあるみたいですが、外科手術ということも少なくはなさそうです。

穿通(消化管を突き破る)してしまった場合、程度にもよりますが、冷や汗が出るほどの痛みに達する場合があります。悪化すると、腸から腹腔内に腸内容物が漏れ、腹膜炎になったりと危険です。
爪楊枝の誤飲には注意してください。

後輩は、3日たった今、まだ特に症状はありませんが、要注意です。しっかりと爪楊枝がうまくかみくだかれていればいいのですが…

今回は爪楊枝でしたが

どんなものが誤飲されやすいのでしょうか?

あと、どんな対策が必要なのでしょうか?

誤飲と言えば、「赤ちゃん」ですね。
タバコ、医薬品、電池、錠剤の包装(PTP包装)、コイン、ヘアピンなどがよく誤飲されてしまうようです。

この中で特に気を付けるものは、(含有成分などが)溶けるものや、液体でしょうか。成分が溶出してしまうものは、急いで除去しければ、命にかかわります。

タバコ(ニコチン)

乳児の致死量は、一本。大人でも二本。水や牛乳は効果がなく、のどに指を入れはかせるように努めるとともに、病院への搬送を。灰皿の水を飲んだ場合は一刻を争う対処が必要です。

医薬品

医薬品の種類にもよりますが、精神、循環器系、抗がん剤などは特に要注意。多くの薬が牛乳を飲ませることで、吸収を遅れさせることができます。

電池

数十分で消化管に穴をあけてしまいます。電池が溶け内容物が溶けだすことも十分にあります。

物理的に障害を与えてしまうものも注意が必要です。
溶けるものよりは緊急性は低いですが、消化管にダメージを与えてしまいます。

コイン、ヘアピン、画鋲などが比較的報告されているみたいです。コインは気道を塞いでしまうことがあるので注意しましょう。
口の中にあれば即吐かせる。飲んでしまた場合には、病院へ。

誤飲を科学的に分析してみましょう。

Science Point!!
・爪楊枝は木製なので、セルロース(細胞壁)。消化できません!!
・ただのレントゲンでは発見しにくいので、CTを!
・胃のpHは1~2、腸のpHは9付近

すでにあげましたが、消化管のpHを考え、緊急性を考察しましょう。消化管は、
胃がpH=1~2程。つまり塩酸です。
小腸はpH =9程度です。

胃酸(pH=1~2)で溶けるもの
電池:表面金属の腐食
卵の殻(炭酸カルシウム):塩基性塩なので胃酸で溶けます
魚の骨(リン酸カルシウム):塩基性塩なので胃酸で溶けます。ただ飲んだ骨が大きすぎたり、胃酸が弱いと腸に行くこともあると思われます。

腸(pH=9)で溶けるもの
樹脂:エステル型の樹脂は、加水分解の平衡反応により酸性よりも塩基性条件で分解されやすいです

魚の骨や卵の殻は特に気にする必要はないかと思います。骨がのどに挟まったときは溶けないので、どうしても出てこないときは、病院で取り除いてもらえます。

樹脂関係は、溶けると体に毒なので、早めの胃洗浄などが必要になったりします。

誤飲となると、まずは異物がどこにあるかの判断も重要ですよね。爪楊枝は木製であり単純なレントゲンでは発見しにくいようです。CTだと発見しやすいみたいです。

最後ですが、「誤飲」は飲んだものが食道などの消化管に行くことを言い、「誤嚥」は気管のほうに行くことを示すようです。

最後まで読んでいただきありがとうございました。