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化学系薬剤師takashi

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アレルギーの治療に使用される薬の作用機序に基づいて分類すると、 抗ヒスタミン薬(H1ブロッカー) メディエーター遊離抑制薬 トロンボキサンA2合成酵素阻害薬 ロイコトリエン拮抗薬 Th2サイトカイン阻害薬 があります。 抗ヒスタミン薬(H1ブロッカー) Check Point!! ・一世代は、中枢に行くので眠くなる ・二世代は、比較的中枢に行きにくい&メディエーターを抑える ・ロラタジン、フェキソフェナジン、エピナスチンは極めて眠くなりにくい 1世代 ・エタノールアミン系 ジフェンヒドラミン、クレマスチン ・プロピルアミン系 クロルフェニラミン、トリプロジン ・フェノチアジン アリメマジン、プロメタジン ・ピペラジン系 ホモクロルシクリジン、ヒドロキシジン ・ピペリジン系 シプヘプタジン 2世代 ケトチフェン、アゼラスチン、オキサトミド フェキソフェナジン、ロラタジン、エピナスチン メキタジン、エメダスチン、エバスチン、セチリジン、レボセ チリジン、ベポタスチン、レボガバスチン、オロパタジン 一世代の薬は抗ヒスタミン作用に加え、抗コリン作用もあり結構使いにくい薬となってます。かつ、中枢にも移行しやすく、眠気を示し易いです。二世代の抗ヒスはこれを改良したものとなっています。ケトチフェン、アゼラスチン、オキサトミドは二世代の中でも眠気が出やすいとされています。これに対して、フェキソフェナジン、ロラタジン、エピナスチンは眠気が出ないといわれます。 これらの、抗ヒスタミン薬は主としてⅠ型アレルギー疾患に使われる薬です。アレルギーといってもいろいろありますが、抗ヒスタミン薬が使用されるのは、鼻閉、皮膚炎、蕁麻疹、花粉症をはじめとする、Ⅰ型のアレルギー疾患に対してです。 アレルギーの分類については別の投稿を参照お願いします。 これらの治療としては、予防的に使用することが最も理想的であり、しばらくの間使用することが大切です。特に二世代薬のケミカルメディエーターの遊離抑制活性を活かすには、2-3週間の服用が必要です。 Ⅰ型アレルギーでは、肥満細胞からヒスタミンが放出されます。放出されたヒスタミンが、ヒスタミン(Gi)受容体を刺激することで、血管拡張や血球の遊走が引き起こされ腫れや赤みになります。これを防ぐことがこの薬の目的です。しかし、ヒスタミン受容体は、脳の覚醒、興奮に関与しているため、この需要体をブロックしてしまうと、眠くなってしまいます。 Science Point!! ・ヒスタミンはヒスチジンから作られていることもあり、イミダゾール環を持つ ・抗ヒスタミン薬にも、含窒素芳香環が多い 抗ヒスはある程度脂溶性がないと効果がないが、眠気がでてしまう諸刃の剣である。 花粉症の治療方法についても書いてあるので、参照ください。 メディエーター遊離抑制薬 Check Point!! ・ケミカルメディエーターの遊離抑制には2-3週間の服用が必要 ・急性効果に乏しい ・トラニラスト、ぺミロラストは妊婦に禁忌 クロモグリク酸ナトリウム、トラニラスト、アンレキサノクス、ぺミロラスト、イブジラスト Science Point!! ・ ・ explanations トロンボキサンA2阻害薬 Check Point!! ・拮抗薬は「トロ」 ・ トロンボキサンA2合成酵素阻害 オザグレル トロンボキサンA2拮抗薬 セラトロダスト、ラマトロバン Science Point!! ・安息香酸様の構造を持つものが多い ・ぺミロラストは、COOHの代わりにテトラゾールを持つ 安息香酸様の構造を持つため、カリウム塩やナトリウム塩といった、塩基性塩が製剤である。 ロイコトリエン拮抗薬 Check Point!! ・「ルカスト」 ・気管支喘息と鼻閉といった平滑筋の収縮が原因となる症状に使用 プランルカスト、モンテルカスト ロイコトリエンは、強力に平滑筋を収縮させる。これらの薬は、その受容体であるロイコトリエン受容体を遮断するものです。 私が昔にふと、「平滑筋が収縮するのに鼻閉になるのか?」と思ったことがありますが、これは収縮する平滑筋が、鼻の血管の出口だからです。その上流である鼻腔の血管は充血します。 この薬で、血液の出口を開くというイメージです。 Science Point!! ・脂溶性(LTに脂溶性が近いため)があり、CYP3A4で代謝される アラキドン酸系統をターゲットとする薬は、脂溶性が高いことが多いです。 Th2サイトカイン阻害薬 スプラタスト Th2とは、Th0から分化した体液性免疫細胞のことです。このTh2は、IL-4,5やB細胞の抗体産生を促進しますが、スプラタストはこの機能を抑制します。

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以前に、ウイルス性食中毒について投稿しましたが、今回は細菌性の食中毒について書きます。 細菌とウイルスの違いはご存知でしょうか? 簡単には、それ単体で増殖できるのが、菌であり、人や動物の生細胞に寄生すること増殖するのが、ウイルスです。 菌といえば抗菌薬で除菌できますが、ウイルスは抗ウイルス薬が必要です。ただ、食中毒で抗菌薬が出ることはあっても、抗ウイルス薬が出ることはほとんどありません。 Check Point!! ・細菌性食中毒には、感染型と毒素型がある ・感染(侵入)型:サルモネラ、腸管病原性大腸菌、赤痢菌、カンピロバクター、腸チフス菌 ・感染(毒素)型:腸炎ビブリオ、腸管毒素性大腸菌、ウェルシュ菌、腸管出血性大腸菌、コレラ菌、ナグビブリオ ・毒素型:ブドウ球菌、ボツリヌス菌、セレウス菌 感染侵入型(サルモネラ、カンピロバクター) 感染侵入型としては、サルモネラとカンピロバクターがメジャーです。というのも、これらの菌は、鳥や家畜の腸管に存在しています。 つまり、ペットやカラス、野鳥の糞や、牛や豚を捌いた際に包丁で接触することで菌が広がります。 しっかりと加熱すれば予防できます。 サルモネラ 潜伏期間が18-36時間とされています。腹痛、嘔吐、下痢が症状として現れます。 カンピロバクター 潜伏期間が約一週間と名前と同様に長いです。なので原因がわからないことが多々あります。こちらも症状は下痢、発熱、嘔吐などです。 感染毒素型(腸炎ビブリオ菌、ウェルシュ菌) 感染毒素型とは、菌が外界にいるときには、毒素を産生しませんが、人の体内に感染した時に、毒素を作りだす菌です。 腸炎ビブリオ 塩分が好きな好塩菌であり、海に存在しています。海水を飲んだり、魚を洗わずに食べたときに感染します。 水道水などの真水には弱いので、しっかりと洗うことで予防できます。潜伏期間は4-28時間です。 ウェルシュ菌 特徴がある菌であり、偏性嫌気性菌です。酸素があると死んでしまう嫌気性菌です、ちなみに酸素があっても大丈夫な嫌気性菌は通性嫌気性菌といいます。この菌は、動物の消化管(低酸素のため)や土壌に存在しています。食品中に少量混ざってしまうのですが、食事は大抵空気に触れるので、この菌は死んでしまいます。しかし、カレーやシチューの入った鍋の底は低酸素であり、増殖して今います。さらに、芽胞を作るため熱には安定です。長時間放置したカレーを食べるのはやめましょう。潜伏期間は4-24時間です。 毒素型(ブドウ球菌、ボツリヌス菌、セレウス菌) 毒素型は、体内に感染していなくても、毒素を作っている菌です。熱で分解できる毒素もあればできないものもあります。なので、毒素の性質と、毒素を作る条件を知っておく必要があります。 ボツリヌス菌 土壌や水中といった、嫌気的な環境に存在している菌です。ちなみに芽胞も持っています。加熱にも強く、嫌気的な条件ではボツリヌストキシンという最強の毒素を産生します。缶詰や真空パックで問題になり、昔からしレンコンで事件が起きました。 黄色ブドウ球菌 人の皮膚のどこにでも存在している菌であり、手の傷とかに大量に存在します。この菌は加熱に安定なエンテロトキシンとい毒素を産生します。予防としては、ケガをした手で料理をしないように注意を。 Science Point!! ・菌自体は、熱変性で除菌できるが、芽胞が問題 ・タンパク性毒素がおおいが、熱に安定かつ吸収される ここで記事を書いていて気付いたのですが、ボツリヌス毒素やエンテロトキシンはタンパク質です。タンパク質といえば、消化管で分解されやす吸収されにくいイメージがあるかと思います。実はたんぱく質にもトランスポーターなどがあり吸収されます。エンテロトキシンは、熱や消化酵素に安定であるため、腸に到達し、毒性を発現します。

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ウイルスを構造的特徴で分類すると、大きく2種類あります。エンベロープがあるか、ないかということです。 エンベロープの正体は脂質二重膜であり、人間がもつ細胞膜と同じです。 エンベロープを持つか、もしくは持たないかの違いで、感染の様式や除菌方法が大きく変わります。 先にポイントですが、 Point‼ ・エンベロープなしは、消化器や内臓に感染 エタノール消毒が効きにくく、塩素系以上の強さの消毒が必要。 ・エンベロープありは、肺や気管支などの呼吸器に感染 エタノール消毒も結構有効であり、塩素消毒も有効。 いい文献があるので先に紹介しますね。 ウイルスの構造上の特徴と消毒感受性について2008, No 59 以下エンベロープの有り無しで分類していきます。 消化管に感染するウイルスはエンベロープ(-) エンベロープを持つウイルスは胃酸で死んでしまいます。つまり、消化管感染するウイルスは 経口感染するウィルスにはエンベロープがありません。たとえば、C型肝炎ですが、専ら注射感染が問題になります。ただし、経口感染って聞いたことありますか?実際に、C肝ウィルスは、エンベロープをもっています。 上気道感染ウイルスは、エンベロープ(+) 受容体を介して感染するため 科学的ポイント エンベロープは二重膜ですが、どう壊れるのでしょうか? エタノールの作用とすれば、界面活性作用が最もでしょう。 アルデヒド系統はタンパク変性? イオン系は… 参考文献 ヤクハンQ&A

ウイルス性食中毒

食中毒は、病原菌でウイルス性のものと細菌性食中毒に分類できます。 ここではウイルス性のものについてまとめます。 Check Point! ・加熱で食中毒を予防! ・下痢止めは原則使うな! ・脱水に注意し水分補給を! ・二次感染に注意し、適切な消毒を!(エタノールNG)   ウイルス性食中毒の原因ウイルスは、真冬に多いノロウイルスと春に多いロタウイルスがメジャーです。 ・ノロウイルス(10~1月、12月1月がピーク) 強い吐き気 ・ロタウイルス(1~6月、3月4月がピーク) 下痢と発熱 特徴はこんな感じです。 吐き気止め、下痢止めを使っていいの? 下痢の時は下痢止め… よく考えて下さい。食中毒の時、おなかの中には多くのウイルスがいるんですよ? そのウイルスを口や便から排出しているのです。それを止まてしまったら恐ろしいことになりますよね? 消化管に感染がある場合、吐き気や下痢は原則止めません。 脱水に気を付けること 下痢で水分が大量に出て行ってしまうので、ミネラルバランスの整ったOS-1の様な補水液を摂取してください。 ウイルス性食中毒は家族など周囲の人にも感染するのが厄介です。 そこで、消毒方法をしっかりと理解することが重要です。 病原ウイルスの消毒は、エンベロープがあるかないかで大きく変わります。 呼吸器に感染するウイルスにはエンベロープがありますが、消化管に感染するウイルスにはエンベロープがありません。詳しくはこちらの記事を。 まず食べ物ですが、食事からの感染には熱が有効です。 エンベロープがあれるウイルスは、60℃30分ほどで感染力を失います。 ノロやロタはエンベロープがないため、85℃ぐらいの加熱は行ったほうがいいと思われます。一般的な料理(100℃)でしっかりと熱を通して入れば、さほど心配ありません。 しかし加熱をした後に、その食べ物が生ものや生ものに触れた調理器具と接触したら意味がないのでご注意を。 次に、食べモノ以外からの感染ですが、 食べ物意外となると、排泄物が一番危険ですね。トイレや手洗い場をしっかりと消毒する必要があります。 大切なので強調します。 ノロウイルスとロタウイルスには、エンベロープがありません。つまり、エタノールでは消毒できません! エタノールが効きにくいということはしっかりと抑えておく必要があります。 最も一般的に使用されるものが、次亜塩素酸になります。そう、ハイターやカビ取り剤に入ってる、あれです。 つまりハイターや、洗濯槽、キッチン、風呂場の漂白に使用されるものを希釈することで消毒できるのです。 つくり方は、調べれば、すぐ引っかかります。今度書き加えようと思います。 適切な消毒法でしっかりと予防しましょう。 参考資料 ノロウイルス感染症(日本食生活学会誌、2006, 17, 2-5) ロタウイルス(感染症)

お茶の薬学

Point! ・お茶うがいは、最強! ・抗酸化作用があり、美容と健康にGOOD! ・多くの医薬品と飲み合わせOK。 日本人の大好きなお茶にまつわる薬学の内容を記事にしてみます。 お茶とは? まずは、「お茶」という飲み物の実態です。お茶に含まれる成分としては、フラボノイド(カテキン)、タンニン、カフェイン、ビタミン群やタンパク、多糖類が挙げられます。(詳細はこちらのサイトへ) この中で、薬理学的な活性をもつものとして、フラボノイド類(カテキンを含む)、タンニン、カフェインでしょうか? これらが、薬と相互作用したり、生体に良い効果を示したりします。 私がお茶で連想することといえば、まずはお茶うがいです。というのも、この記事を書いてるときに風邪をひいてたからです。 お茶うがいとは、カテキンの殺菌作用を活用した健康維持方法になります。 「うがい薬」と聞いたときに思い出すものは、茶色いヨウ素系の消毒剤であったり、緑や青色のものだと思います。 これらの殺菌効果も十分にあるのですが、茶カテキンも優れた効果を有しています。 いい文献があったので紹介します。(茶カテキンの機能性とその応用例) この日本食品保蔵科学会誌(原 征彦 著)の報告によれば、茶のカテキンは、飲料(500-1000ppm)よりも低い濃度(数百ppm)で黄色ブドウ球菌、ウェルシュ菌、セレウス菌、腸炎ビブリオ菌などの食中毒の原因菌に対し、発育阻止を示すのに対し、乳酸杆菌やビフィズス菌い対しては発育阻止を示さないということが示されています。 つまり善玉菌のみを生かし、悪玉菌の増殖を抑制する効果が示されてます。 また、インフルエンザウイルスの飛沫ウイルスに対する抗ウイルス作用も示されています。 お茶を飲むことや、お茶でうがいすることは、感染防御の面から、非常に有効ですね。 ペットボトルのお茶ではなく、急須で入れたお茶のほうがカテキン量も多く、効果があるみたいです。 美容の維持にも重要です カテキンには、抗酸化作用があります。人体が酸化されることで、血管がダメージを受けて血栓症につながったり、肌荒れも生じます。 体の酸化は地球(酸素があるところ)に住んでいる限り回避できません。ただ、いわゆる抗酸化作用を持つ物質を摂取することで、酸化によるダメージを回避できます。 私たちは、ビタミンCやEなどを摂取して、この酸化から身を守っています。 カテキンを摂取するということは、ビタミンを摂取するのと同じぐらい大切なことです。 ここで化学 抗酸化物質とは、還元作用を持つ物質ということです。 人体が酸化されるよりも早く、酸素から生じた酸化活性物質を還元するために人体を保護できます。 ポリフェノール、ヒドロキノンなど共役した二つの水酸基を持つ分子が、ジケトンへと酸化(OHからケトン、二つのHを供与)されることで、生体内で生じた活性酸素種を還元します。 ちなみに、抗酸化作用が関係するのですが、がん予防効果もあります。がん予防に必要な一日の飲料は155mlを10杯(1.5L !!!)と報告されています(茶業研究報告 , 2004, 97, 49-58.) しかしこれはがん予防目的の量であるため、血管強化などの健康維持にはもう少し少ない量でいいでしょう。 風邪などの予防であれば、一日数回のうがいでも十分だと思います。 そしてやはり、ペットボトルではなく、急須で入れた茶がいいようですね。 蛇足ですが、 貧血の人には良くないという記事をよく見ますが… タンニンと鉄がキレートするとされていましたが、貧血の人は鉄の吸収率が良いため大きな問題にはならないとされています。 日本人にとってとてもなじみ深い飲み物のお茶ですが、これだけ私たちの体を守ってくれていたのですね。 お茶を飲む文化は大切にしていきたいですね。

β遮断薬(βブロッカー)

β遮断薬(βブロッカー)は、交換神経系の受容体をターゲットとするため、効果が多岐にわたります。 高血圧、狭心症、不整脈が主に挙げられます。しかし、β受容体は糖代謝にも関与していることから、使用する上でいくつかの注意点があります。 β2受容体(Gs)を刺激することで、平滑筋の弛緩が起きます。 (作成中)