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風邪治療の間違い

風邪の治し方

風邪、医学用語では「感冒」と言われますが… 多くの方が罹患したことがあると思います。 風邪の治し方は各家庭で方法が違ったりしますよね? 風邪とは何か?どのように治すべきなのか?薬は何を使うのか? 解説してみたいと思います。 まずは要点をまとめてみました。 Check Point! ・風呂に入る!(ただし、湯冷めに注意を!) ・解熱鎮痛薬は安易に使うな!(症状に合わせて使用すること) ・栄養補給と睡眠が一番大切! ・うがい薬を間違えない!(茶色いうがい薬に注意!) そもそも風邪とは何か?なぜ熱が出るのか? 風邪はウイルス(ライノウイルス、コロナウイルス、アデノウイルス、など)が生体細胞に感染することで罹患します。このときダメージを受けた細胞やウイルスは、炎症性サイトカイン(IL1、IL6、TNFα)を放出します。これが脳に到達すると発熱して体温を上げます。この体温上昇により、体内の免疫細胞の活性が上がりウイルスをやっつけてくれます。 (ちなみに、上気道感染ウイルスにはエンベロープ(+)が多いですよね。) つまり、「熱」はウイルスを排除するために必要なのです。 では、解熱薬でこの熱を下げてよいのでしょうか? 答えはNo。熱を下げると確かに体は楽になりますが、ウイルスを除去することが困難になります。そこでおすすめなのが、体温を下げない「漢方薬」ですね。「葛根湯、桂枝湯、小青竜湯」などが用いられますが、症状によって用途が違います。薬局で薬剤師に相談しましょう。 しかし、熱を下げないと危険な場合があります。仕事を休めない人であれば、意識がもうろうとしたり転倒につながります。小児では、脳の障害につながることもあります。39℃に近い発熱には積極的に解熱薬を使うべきといえます。ただし、特別に動く必要がなく安静にすることが可能であれば、解熱せずに栄養を取って休むのがいいのです。自身の免疫力で治すのです。 「風邪をひいたら風呂に入るな」ということが昔はありましたが、これは昔の家は風呂がなく銭湯に行く必要があったり、暖房設備が整っていなかったため、湯冷めによりが冷えるためです。現代の生活環境で湯冷めしにくいので、お風呂に入り保温と上気道の加湿を行うべきといえます。 次に、のどの消毒と咳止めです。これらの治療方法も有効なのですが、間違いが多いです。 ・細菌感染がある場合には、咳を止めないほうがいい 「風邪の薬はない」といいますが、これは風邪の原因となるウイルスをやっつける薬がないということです。 人間は、ウイルスと菌を別々に攻撃するのが苦手です(細胞性免疫と体液性免疫)。 風邪(ウイルス感染)が続くと、細菌感染も進んできます。菌に感染すると黄色い痰(膿)が出るようになります。 このような状態で咳止めを使うと、菌の排泄が低下し、治りが遅くなります。ただし咳が多かったり、夜に出て眠れないなどの消耗が起こるのであれば、咳は止めるべきでしょう。 ・ヨウ素系の消毒は炎症が正常細胞にもダメージを与える 茶色いうがい薬ですが、ヨウ素(I2)の細胞毒性により、雑菌を除去しますが、この際正常な細胞にもダメージを与えてしまいます。特に風邪をひいて、炎症で弱ってる咽頭にこの消毒は逆効果となります。おすすめの消毒方法として、アズノール、グルコン酸クロルヘキシジン、セチルピリジニウムを成分に含んだうがい薬やトローチが好まれます。 ちなみに、多くの菌やインフルエンザウイルスを除去するカテキンを利用したお茶うがいもおすすめです。