中村 仁 氏が薬剤師業務を不労所得と痛烈に批判
SNSでも薬剤師間などで話題になってますが、元新聞記者の中村 仁 さんが薬剤師を不要なものと痛烈に批判しています。
ということで、元の記事を読んで、その感想なるものをまとめてみました。
記事が二つあります。まずは、大元となる
医療費を食う薬剤師の不労所得
[advanced_iframe securitykey=”ku9ro6ha8ra5.t0k1s20″ src=”//blog.goo.ne.jp/jinn-news/e/db49a57cfd3704153e03a1717fb00c52″ width=”100%” height=”600″]という記事を10月30日にお書きになられており、いくつかのコメントを受け薬剤師の不労所得論に殺到した抗議に反論
薬剤師の不労所得論になぜ大騒ぎ
という記事を11月2日にお書きになっています。
こういう記事に触れるのは少し怖いのですが、読んでスルーするわけにもいかないと思いましたので、感想を述べさせてください。
追記
寄せられているコメントの中に、薬剤師の仕事内容が不明というコメントを見つけてしまったので、
薬剤師の仕事内容を紹介します
という記事も書いたので、興味あれば見てください。
記事を読んだ率直な感想ですが…
偏った意見の元に書かれた記事で個人的には、いい印象を受けない部分がありました。
ですが、
すべてが間違いでもなく、一つの意見として薬剤師は受け入れるべきと思いました。
一見、憤を感じる部分もありますが、冷静になって記事を読み返すと、我々薬剤師も反省すべき点が浮上してきます。
Topics!!
1. 記事に異議を申したてたい点
2. 仰る通りと感じた点
3. 最後に
4. 追記
1:意義を申し立てたい点
『医師の処方箋に従って、棚から薬を取り出し、患者に渡す仕事をしているだけで、われわれが払う薬代の3割程度の報酬をもらえるのです。これをわざわざ薬剤師の調剤行為と呼びます。』
調剤室に入ったこともない、多くの読者に影響を与える元新聞記者には、もう少し読み手に配慮した発言を要求したいと思います。
医師の処方箋をチェックすることがどれだけ大切なことか十分に理解していただけているのでしょうか?
用法用量のチェック、他の病院で処方されている薬の飲み合わせ。
時々、ほかに飲んでいる薬があることを医師に伝えておらず、重複していることも結構あります。
医師が忙しく、診察で聞き逃すことも多々あります。薬局で時間をかけて薬、健康、検査値の話をすることで不安が解消される患者さんも少なくありません。
患者に渡す行為が何よりも難しく、薬剤師としての能力が要求されるポイントだと思います。
ちなみに、地域活動など、それ以外の仕事もいろいろあります。
「相手の職業を熟知せずに一方的に意見を投げつける」というのは、
新聞記者の業界をロクに知りもしない私が、「新聞記者など適当に意見を連ねるだけの仕事」と発言するようなもの。
私は、優れた記者、命を懸けてる記者など本当にいろんな人がいて、表に出てこない仕事も数多くあると思うので、その業界にいない限りその仕事を批判する気は毛頭ございません。
徹底的に薬局を取材したうえで記事にしてもらいたいものです。
記事の内容を読む感じ、中村氏が意見を伺っているのは特定の病院の特定の医者ばかりな気がします。
正確な意見として取り扱えるものなのでしょうか?
なので私はそこまでムキにはならず、一つの意見としてとらえさせていただきます。
ただ、「元新聞記者」と名乗る以上、使用する言葉は選んでいただきたいと思います。
『病院、医院によく通う年齢になり、薬剤師および彼らの仕事場である調剤薬局に強い不満、疑問を抱くようになりました。財政赤字を医療費の増大が生み、かれらの不労所得が医療費の増大をもたらす一因なっているのです。』
医療費が増大しているのを「薬剤師のせい」かのごとく書いています。
確かに、ある程度賃金はもらっているでしょうが、そこまで莫大なのでしょうか??そして、無駄なのでしょうか??
多くの日本人が気安く病院に行くこと、生活習慣病で薬をもらうという時事実の方が大問題ではないのでしょうか??
タバコや食生活の贅沢で病気になった人が、さらに医療費に負担をかけることは理解できませんし、
対した病気でもないのに病院に行く人も多くいます。
先にこれらの点を改善する政策の方が必要ではないのでしょうか??
2:仰る通りと感じた点
後日の記事で
『医師が上位、薬剤師は下働きの関係になっています。「医師の処方が適正化どうかチェックする権限をもっと薬剤師に持たすべきだ」。傾聴に値するコメントですね。』
と述べており、確かに、薬剤師にもっと権限を与えるべきかもしれません。
薬剤師を介する価値として、医薬品の適正使用と、無駄な処方を回避し医療費削減できるという点も挙げられると思います。
実際に、一部の医師は本当に無駄な薬ばかりを処方します。時には、こちらが「不要」と推しても「そのままで」と言われることもあります。
薬の無駄遣いを減らすためにも、薬剤師が処方決定に介入する権限は必要だと思います。
ただ、現時点でも、薬剤師の意見を尊重してくださる医師も沢山います。
『私は抗凝固剤のワーファリンを服用しています。医師の薦めで当初はバイアスピリンも併用していました。定期的に受けている別の医院の内視鏡検査で、「胃にびらん(潰瘍状のただれ)がある。この二つを併用すると、こうした症状がでがちだ」と指摘され、以後、バイアスピリンの服用はやめました。そうしたリスクについて薬剤師から注意を受けたことありません。医師の処方に従っているだけのようでした。』
実際に、十分な仕事ができていない薬剤師はたくさんいると思います。このケースの場合には、ドクターには確認しているが、患者さんに十分伝わっていなかったという可能性があると思います。
確かに、私を含め能力不足な薬剤師はいますが、全ての薬剤師がそうではないと思っていただきたく思います。
『薬剤師も世間の批判は知っているのでしょう。薬を渡す時、決まったように「お加減はいかかですか」、「寒くなりましたから、体調に気をつけて下さい」、と聞きます。医師が処方箋を書く、処方箋はほぼ毎月、同じですから、ほかに聞きようがないのでしょう。せっかく難しい薬学部を卒業したのですから、もっと健康管理に役立働き方を考えるべきです。』
これは的を得た意見ではないのでしょうか??
確かに、状態が安定している人については、特にいうことがありません。マニュアルのように毎回しつこく聞いても煙たがられしまうのが事実。
薬剤師が本気を出せば、培ってきた幅広い知識をいろいろ教えてあげたりできるかもしれません。
ただし、これは時間的余裕があればの話で、現状では安定している人への説明をサッとすませ、問題を抱えている患者さんに時間を割くというのが大半であり、現実的であるかもしれません。
私個人的には、雑誌のコピーなどの健康情報提供などができればコンパクトでいいかとおもいます。
3:最後に
このような一般の価値観を汲んだ記事を読んだときに、すぐに怒りを述べるのではなく、広い視野で記事を熟読すべきですね。
批判云々よりも、いま薬剤師を取り巻くイメージに、一部今回のようなものもあるという事実に着目すべきです。
むしろ、「現状を見直す機会を与えられた」という点については、中村氏の発言に感謝してもいいのかもしれません。
まずやるべきことは、薬剤師は薬局の外に出て、職能のアピールと患者さんから一つでも多くの「ありがとう」をもらうことです。
今は、ボランティアのようなもので「時間の無駄、お金にならない」という意見がありますが、
賃金を先に求めるのは間違いであり、患者さんのニーズに合ったことをやり、価値あることを重ねれば、報酬は伴ってくると思います。
薬剤師には、イメージ改革が、求められているかもしれませんね。
4:追記
薬剤師の仕事内容が不明というコメントを見つけてしまったので、
薬剤師の仕事内容を紹介します
という記事も書いたので、興味あれば見てください。