降圧薬の正しい選び方
・ARBの正しい選び方
・ACEIの正しい選び方
・CCBの正しい選び方 ←この記事ではこれを解説します
・β遮断薬の正しい選び方
カルシウムチャネルブロッカー[calcium channel blockers (CCBs)]
カルシウムチャネルブロッカー(CCB)は、臨床でもよく使用される薬剤です。血圧を下げるための降圧薬として使用されていたり、頻脈性の不整脈を改善するために使用されたりしています。
CCBの種類は、ジヒドロピリジン系と非ジヒドロピリジン系に大別されます。
いずれのCCBも、血管平滑筋や心筋などで、カルシウムチャネルを阻害し、血管の収縮を阻害することや、心筋の刺激伝導系を阻害することで薬効を示します。
Check Point!!
・受容体のサブタイプを把握
・腎保護作用、心臓選択性を使い分ける
今回、CCBsのreview
「Discovery and Development of Calcium Channel Blockers.」
と
「Ca拮抗薬とATPの抗不整脈作用」小野克重
を参考にしました。大変良くまとまっている文献なので、専門家の方は一度読んでおくとよいかと思います。
では、内容に入っていきます。
CCBの受容体サブタイプ一覧
カルシウムチャネルは、構成部位の違いで分類されています。大きな分類として、L, T, Nなどの分類があります。教科書レベルでは、「ジヒドロピリジン(DHP)系のCCBはL型を遮断する」と学習するかと思いますが、もっと細かい分類を知っておきましょう。
構成サブユニットのサブタイプと発現部位を以下の表(Table 1)にまとめました。
引用Discovery and Development of Calcium Channel Blockers.
ジヒドロピリジン(DHP)系
第一世代:短い作用時間
ニフェジピン(アダラート)、ニカルジピン(ペルジピン)
第二世代:長い作用時間
ニルバジピン(ニバジール)、ニソルジピン(バイミカード)、ニトレンジピン(バイロテンシン)、マニジピン(カルスロット)、ベニジピン(コニール)、バルニジピン(ヒポカ)、エホニジピン(ランデル)、フェロジピン(スプレンジール、ムノバール)、シルニジピン(アテレック)、アラニジピン(サプレタス、ベック)
第三世代:長い作用時間、長期使用しやすい
アムロジピン(アムロジン、ノルバスク)、アゼルニジピン(カルブロック)
非ジヒドロピリジン(non-DHP)系
クラスⅣ不整脈薬
ベラパミル(ワソラン)、ジルチアゼム(ヘルベッサー)
CCBの各疾患や病態に対する使い分け
CCBはカルシウムチャネルを阻害する薬剤ですが、心臓と血管のカルシウムチャネルいずれを阻害するかで、薬効は変化します。
Table 1に、カルシウムチャネルの分類を示しましたが、正直
大切なのは、L型(Cav1.2)、N型、T型の3種です。
ジヒドロピリジン系および非ジヒドロピリジン系のCCBが選択的に作用するのは、Cav1.2であり、DHPは平滑筋への選択性が、非DHPは心筋への選択性が高いとされています。
(詳細は、本記事の下を)
ジヒドロピリジン系のCCBの中には、N型やT型にも選択性を持つものがあります。特にT型は、腎臓(ネフロン)の輸出細動脈にも存在しているため、T型の阻害作用を併せ持つ、CCBsは腎負荷の軽減が期待できます。
・心筋選択性が高く、不整脈に使用(ペースメーカー)
ベラパミル(ワソラン)、ジルチアゼム(ヘルベッサー)
・冠攣縮性狭心症に使用される(心筋選択性+血管平滑筋選択性)
ジルチアゼム(ヘルベッサー)、ニフェジピン(アダラート)
・L+T型チャネル(Cav3.2)阻害効果(腎保護、陰性変時作用があり反射性頻脈を抑制)
L+T:エホニジピン(ランデル)、アゼニルジピン(カルブロック)、シルニジピン(アテレック)
L+T+N:シルニジピン(アテレック)、ベニジピン(コニール)
CCBsの化学的特徴
Science Point!!
・中性のDHPはCav1.2b(平滑筋)を選択的に阻害!
・ベラパミル/ジルチアゼムは、開口頻度の高い、同房結節、房室結節で機能
・DHPは、浅い電位の受容体(平滑筋)選択性が高く、高電位(心筋)受容体への選択性が低い
DHPは、カルシウムチャネルの外側に結合して受容体を阻害します。
一方、ベラパミル、ジルチアゼムは、Caチャネルの開口頻度が多い部位で効果を示す。
ベラパミル、ジルチアゼパムは生理的pHでは、イオンであり、細胞内部からチャネルを遮断します。そのため、高頻度に開口している同房結節、房室結節でよく機能します。
引用「Ca拮抗薬とATPの抗不整脈作用」小野克重
私の仮説ですが、
おそらく、DHPの結合領域が脂溶性なのでしょうか?
そのため、生理的pHでイオンであるベラパミルやジルチアゼパムは、DHP結合部位に結合できないという仮説は立てることができます。
Synthesis of new N3-substituted dihydropyrimidine derivatives as L-/T- type calcium channel blockers
最後まで読んでいただきありがとうございました。