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キレート

2018年08月01日

キレート(chelate)とは

多座配位子が、金属と多点で配位結合を形成し、複合体を形成することを言います。

EDTAなどは特に配位点が多く、よく金属を補足します。採血管でカルシウムによる血栓形成を阻害するために用いられたりします。

この意図的に作られたものはいいのですが、医薬品の中には偶然キレートの形成能をもってしまったものもあります。

キレート形成能の有無は、

薬の飲み合わせなどでよく問題に

なります。結構な頻度で起こる事なので、科学的な理解が必要であり、国試でも狙われ易いです。

薬剤師、薬学生の方はよく理解しておきましょう。

Check Point!!
二重結合や三重結合をもった窒素(N sp2)がキレートしやすい!!
・CYP450のFeや、酵素中のMgに配位してしまう!

 

キレートは配位結合の集合体

キレートや配位を簡単にいえば、ミネラルみたいな金属にS, N, Oのような原子が張りついてしまうというものです。

S, N, Oが特に配位しやすいのですが、医薬品で特に多いのが、窒素原子です。

しかし、すべての窒素が配位するわけではないのです。

もしそうだと、ほとんどの全ての薬がCYPを阻害したり、消化管から吸収されないといった問題が生じます。

構造で着目すべきなのは、以下の二点です

・強力な配位官能基の有無

・配位結合を形成しうる官能基の数

強力な配位官能基は、一つだけでも金属との相互作用を示します。

それが複数あると、キレートが形成され、より強力に金属と相互作用します。

 

そもそも、医薬品が「Fe2+」「Mg2+」といった金属とキレートを形成すると何が悪いかというと…

「Fe2+」「Mg2+」などの金属は、イオンです。

身近なイオンといえば、カルシウムイオン「Ca2+」がありますね。

ミネラルウォーターとかあるように。ミネラルは水に溶けています。つまりイオンは極めて水溶性が高いのです、

一方、医薬品は脂溶性でなければ、血液中に入れないんですよね。

ここで、
ミネラルを「M+」、含窒素医薬品を「N-Med」とします。
医薬品中のNと金属イオンM+がくっつくと「+M-N-Med」になります。

つまり医薬品がイオンになったようになるんです。

となると、医薬品が水溶性になってしまい、細胞膜を通過して血液中に入ることができなくなります

これがいわゆる
ニューキノロン系抗菌薬やテトラサイクリンとカマグ
などの相互作用ですね。

強力な配位結合形成の機構

内容に入りますが…お忘れの方も多いと思うので、図で説明します。

そもそも配位とは、N, S, O, Pなどのローンペア(-)が金属イオン(+)と結合を形成するものです。

特に金属に強く配位しやすいものは、sp2の窒素です。

sp2の窒素は、sp2軌道にローンペアを持っており、さらに電子欠損なP軌道を持っています。

MgやFeには、空軌道(d軌道)とローンペアを持った混成軌道があります。

この空軌道に、ローンペアが配位します。そうすると、金属は、電子がいらなくなり(電子豊富になり)、窒素のp軌道に電子をあたえます。これを逆供与(バックドネーション)といいます。これで、二重結合が作られ、とても強く金属と結合します。

難しいことは、おいておき、

の様な構造が金属と結合しやすいということです。

これが分子内に複数存在すると、より強固なキレートを形成します。

三重結合は超要注意です!
図右側の三重結合をもった、シアンや一酸化炭素は、血中のヘム鉄に配位して、酸素欠乏を引き起こし、死に至らしめてしまう危険なガスですよね。

また、冒頭でも触れたEDTAなどの多座配位(一分子の中に多くの配位性ローンペア)は、エントロピー的に有利なためキレートを作りやすいので注意が必要です。

錯体はよく色を持ちますが、これはキレートを形成した時に生じる新たなd軌道バンドギャップが小さいために、呈色します。
(金属錯体の色や磁気的な性質)
(有機顔料の発色理論と顔料)

 

キレート能を有する代表的な医薬品

代表的な医薬品を見てみましょう…(すみません、編集中です)