chelate

キレート(chelate)という金属と有機化合物間で生じる相互作用は、薬の飲み合わせなどでよく問題になります。結構な頻度で起こる事なので、科学的な理解が必要であり、国試でも狙われ易いです。

ポイント

sp2
キレートとは?
簡単にいえば、ミネラルみたいな金属にS, N, Oのような原子が張りついてしまうというものです。
S, N, Oの特徴としては非共有電子対(ローンペア)を持っているということですね。
金属原子にある電子を受け入れるスペース(空軌道)にこれらの原子がローンペアを与えることで、くっついてしまうためです。

医薬品が金属とくっついてしまうと何が悪いかというと。

薬に使われる金属は「Fe2+」「Mg2+」といった、イオンなんです。身近なイオンといえば、食塩「NaCl」がありますね。
ご存知のように、ミネラルは水に溶けますよね?ミネラルウォーターとかあるように。
一方、医薬品は脂溶性でなければ、血液中に入れないんですよね。

ここで、
ミネラルを「M+」、含窒素医薬品を「N-Med」とします。
医薬品中のNと金属イオンM+がくっつくと「+M-N-Med」になります。
つまり医薬品がイオンになったようになるんです。となると、医薬品が水溶性になってしまいます。
こうなると、血液中に入ることができなくなります。

これがいわゆる
ニューキノロン系抗菌薬やテトラサイクリンとカマグ
などの相互作用ですね。

体の中にも鉄ってありますよね、血液はもちろん、CYP450など。
一酸化炭素は血中鉄とキレートして、酸素の運搬を止めます。
アゾール系の薬はCYPの鉄とキレートし、酸素を使った代謝を止めます。

ここから、一気に化学的な内容になります。
すべてのローンペアが金属に配位してたら、人はすでに死んでます。
キレートしやすい条件があります。

・空のp軌道を持った複素原子(S, O, N)
C=N、CN、COなど

・多座配位(一分子の中に多くの配位性ローンペア)

理由はバックドネーション

例えば、シメチジンの構造を見てみると…