博士号薬剤師・指導薬剤師・専門薬剤師・認定薬剤師の違いは?

これから”普通”の薬剤師は需要がなくなっていくといわれる中、薬剤師にとって”博士号”がどれだけ意味あるものなのかについて言及していきます。

 

博士号(Ph.D)・専門薬剤師・認定薬剤師の違い

博士号も専門薬剤師も、その比較には難しい部分はあると思いますが、個人的には難易度や取得すべき優先順位は

博士薬剤師 > 専門薬剤師 > > 認定薬剤師

だと認識しています。理由は以下の通りです。

 

1. 資格の権力範囲

博士号(Ph.D.)は言うまでもなく、”世界”に通用する基準です。一方、専門薬剤師は日本国内でしか通用しない肩書です。

これからの薬剤師業界には、世界に通用する人が必要だと思います。

 

2.認定の要件

専門薬剤師認定基準を見てください。

がん専門薬剤師の認定基準と、その上のがん指導薬剤師の認定基準を見ると、

 

がん専門薬剤師の要件実務経験5年と、処方介入した症例が50件必要

がん指導薬剤者の要件がん専門薬剤師経験5年学術論文3編あるいは英文の筆頭1編と、学会発表3回or筆頭発表1回

 

となっています。

つまり、がん指導薬剤師は、勤務10年(薬剤師5年+がん専門5年)の要件を除けば、博士号を授与される基準とほとんど一緒なのです。文献の要件については、大学病院でがん領域の臨床研究室に属する大学院生であれば基準をみたすことができると思います。

つまり、専門薬剤師は「論文を書ける≒研究ができる」人がいないと取れないような基準です。

博士号の上乗せで、専門薬剤師さらに指導薬剤師を身に着けるというのが非常に良い取得方法だと思います。

 

3. 専門薬剤師が博士号の下というワケではない

上記までの内容を読むと、がん専門薬剤師が博士号の下であるようなイメージを受けるかと思います。しかし、そういうわけではありません。

しかし、臨床系の博士号のみを持っている人と、専門薬剤師のみを持っている人を比べたとき、そのどちらが上かは議論が難しいところですね。

臨床系博士号は、論文を書いており世界で活躍できる能力がある証明にはなります。しかし、博士での研究業績は必ずしも臨床で直接患者さんに貢献したものとは限りません(ほんとに患者貢献した博士論文を持つ人もいると思いますが…)”これからに期待”という感じです

一方、専門薬剤師のみの場合、その人が世界基準で活躍できる人材かどうかを保証することはできませんが、症例実績を持っているはずですので、臨床で活躍してきた実績が証明されています。また、長期間保有してきた人には5年ごとの更新を乗り越え、現場貢献を成し遂げてきたことが保証されています。

 

薬剤師が博士号を持つ意味

薬剤師が博士号を持つ意味については過去にもかいていますので、よかったら参照ください。

博士号は0から1を生み出す能力を持つものに与えられます。

これからの薬剤師に求められるのは、その人にしかできないことを持つ人材、新しいことをできる人材であることは間違いないでしょう。

なせなら、薬局が乱立し、かかりつけ薬剤師が増えているいま、「この人に調剤してもらいたい」「この薬剤師についていきたい」といった薬剤師に患者も若手薬剤師もついてきます。

この観点からも、学会に飛び込んでいける・新しいことができる薬剤師がこれから求められます。