サルファ剤は、スルホンアミド(sulfonamide)系の合成抗菌薬です。
1932年にアゾ染料のプロントジルに抗連鎖球菌活性が見出され、利用されるようになった抗菌薬です。
サルファ剤の種類
プロントジル
スルファジアジン
スルファニルアミド
スルファメトキサゾール
スルファキノキサリン
など
があります。
ですが、現在医薬品として使用されているのは、スルファメトキサゾールのみです。
スルファメトキサゾールは、トリメトプリムと合剤として使用されます。
この理由は、次の項目を読んでください。
サルファ剤の作用機序
細菌は、パラアミノ安息香酸(PABA)から、DNAの材料であるプリン塩基を合成します。
また、トリメトプリムはジヒドロ葉酸ができる工程を阻害するために相乗効果が期待できます。
パラアミノ安息香酸(PABA)
↓←サルファ剤が阻害
ジヒドロ葉酸
↓←トリメトプリムが阻害
テトラヒドロ葉酸
↓
プリン塩基
要するに、細菌が増殖(細胞分裂)するためには、DNAが二倍量になる必要があります。
ですが、DNAを二倍量にすることができなければ細菌は増殖することができません。
DNAのプリン塩基になる前駆物質がPABAですが、これがプリン塩基へと変換する工程を阻害するのがサルファ剤です。
トリメトプリムは、プリン塩基合成の別の段階(ジヒドロ葉酸 → テトラヒドロ葉酸)を阻害するために、相乗効果が期待されます。
よってこの2剤は合剤として使用されるのです。これがST合剤です。
他の抗菌薬との違い
サルファ剤の製剤としては、バクタ、バクトラミンがあります。
後発薬品でいえばダイフェンです。
臨床にいたら聞いたことある薬だとは思います。
作用機序でも紹介したように、細胞の生存機能ではなく、細胞分裂を止めるため、静菌的な作用です。
なので、抗菌力は弱く耐性が生じやすいのが問題となる薬剤です。