反応座標と計算科学
有機化学をやっていると、よく出てくるのが反応熱を用いた議論ですね。
この熱量で選択性はどうなるのか?
反応は進行するの?
これらを理解するには、次の二点をしっかりと理解することが大切です。
平衡反応なのか、速度論反応なのか。
温度と活性化障壁
反応座標の解説については過去記事をご覧ください。
「反応座標」
20kcal/mol以下ならば、室温で反応が進行します。
室温のエネルギーは 数kcal/mol ですが、ボルツマン分布に従うと、特定の割合の分子が、10~20kcal/molのエネルギーを獲得するため、このエネルギーでも反応が進行します。
以上は、加熱が必要です。
30付近になると、「一般的に反応は進行しない」と考えます。
反応速度と生成比
反応条件下における生成物の比率を考察する際には、原料と生成物の反応経路に
可逆性があるか=平衡反応
可逆性がないか=速度論的反応
が重要です。
反応を行っている条件で、正反応の活性化エネルギ障壁、逆反応の活性化エネルギー障壁を超えるエネルギー(加熱)が外部より加えられているかにより決定します。
平衡反応における生成物比
平衡反応は、正反応と逆反応どちらも進行する状態のことです。
原料から生成物に向かう活性化エネルギーを超えており、生成物原料に向かう経路の活性化エネルギーも超えている状態です。
この場合、原料と生成物の比は、それぞれの原料(ΔG)と生成物(ΔG)の熱力学的安定性の差(ΔΔG)に依存します。
http://computational-chemistry.com/blog/2016/01/13/kcal/
こちらのポータルサイトに記述されていますが、
3.0 kcal/mol
の差があると存在比が約 99:1 、
1.7 kcal/mol
の差があると存在比が約 9:1
0.5 kcal/mol
の差があると存在比が約 7:1 になると言われています。
たしか、ΔG = ΔG0 + RTln(生成物/原料)
の ΔΔG で求められるはずです。
速度論的反応の生成比
逆反応が進行しない場合逆反応のEaが非常に大きいとき、ガスが発生する場合
または、低温での反応で速度論に従った反応が進行します。
速度論反応は、反応速度定数kの比率で、生成物の比が決まります。
遷移状態のエネルギー差が X kal/mol あった場合
反応の速度比は10のX乗程度の違いが生じます。
また、10℃温度上昇すると、反応速度は2倍になります。
すいません、この先編集中です
引用文献
http://computational-chemistry.com/blog/2016/01/13/kcal/
http://ccc.chem.pitt.edu/wipf/courses/2320_06-files/IB_Kinetics&Thermodynamics.pdf
http://www.jsac.or.jp/bunseki/pdf/bunseki2014/201403nyuumon.pdf
https://www.csus.edu/indiv/m/mackj/chem142/kinetics.pdf