CATEGORY

症例・事例の科学

授乳婦が飲んでも良いクスリー母乳中に移行しやすい薬剤の科学的性質、子供への影響ー

 母乳に移行しやすい薬剤 「授乳中ですけど、この薬飲んで大丈夫ですか?」 薬剤師であれば、必ず遭遇する質問だと思います。 多くの場合答えられません。そして添付文書をみると、 「治療の有益性があると判断される場合にのみ使用」 というありきたりな記載。 私はいつも科学的に判定できないものか?と考えてきました。 答えにたどり着けるかわかりませんが、少しまとめてみます。 Topics & Chec […]

不眠に使用できる注射剤は?末期がんや経口投与不可患者の睡眠障害(不眠)をコントロール。(ミダゾラム、フルニトラゼパム)

「経口投与できない末期がん患者に対して使える睡眠薬はあるか?」 と相談されたという話を聞いたので、経口投与以外で、不眠をコントロールする方法を調べてみることにしました。 睡眠障害のコントロールは、実は錠剤などの内服薬でも治療が達成されていない症状だと思います。 それにもかかわらず、睡眠薬の経口投与ができない場合、薬剤の選択肢は大きく制限されてしまいます。 睡眠に使用できそうな注射剤としては… ミタ […]

抗真菌感染症薬ミカファンギン(ファンガード注)の遮光がなぜ必要か?その理由は?光による分解を科学的に考察

注射剤の分解の科学として、今回はMCFG:ミカファンギン(ファンガード)の光分解について調査&考察しました。 今回の情報に関して論文があまり見つからなかったので、インタビューフォーム(IF)からの情報と私自身の考察となります。 ファンガードIF Check Point!! ・真菌細胞壁1,3-β-D-glucanの生合成を非競合的に阻害 ・溶解は生食、ブドウ糖液OK! ・1時間以上かけて点 […]

アンギオテンシンⅡAT1阻害薬(ARB)の力価比較と疾患に適したARB降圧薬の提案

降圧薬の正しい選び方 ・ARBの正しい選び方 ←この記事ではこれを解説します ・ACEIの正しい選び方 ・CCBの正しい選び方 ・β遮断薬の正しい選び方 最近、持参薬鑑別のやり方と代替薬の提案について相談されました。 ARB系の降圧剤は、種類がそれなりにありますが、多く病院がそのすべてを採用しているとは限りません。 「入院が決まった患者の持参ARB系薬剤の代替ARB薬は何を選べばいいの?」という場 […]

集中治療室(ICU:Intensive Care Unit)で頻用される注射剤一覧の配合変化早見表

今回は文献の紹介です。ICUでよく利用される注射剤の配合変化早見表を作成した文献を見つけたので紹介します。 特にICUを持つ病院勤務の薬剤師であれば、データとして持っておくべき文献だと思います。 先に配合変化についてまとめている文献をリストします。 集中治療室における注射剤配合変化早見表の作成と有用性の評価 九州大学病院薬剤部 石田 茂ら 医療薬学 2016, 42(4), 286-294. IC […]

ダカルバジンの光分解生成物による血管痛と、遮光の必要性について

臨床でしばしば問題となる、抗がん剤の静脈内投与による血管炎の発生について科学的に考察してみました。 こういう問題があると何かと理由をつけて考えたくなるのが科学者の性ですね。 今回紹介するのはダカルバジンです。 ダカルバジン(DTIC)とは? 適応症:1. 悪性黒色腫、2. ホジキンリンパ腫、3.褐色細胞腫 用法: 1. 1日100-200㎎を5日連日静脈内投与、4週間休薬 2. ほかの抗悪性腫瘍剤 […]

ニキビの治療と科学

ニキビは医学的には「尋常性挫創」と言われています。 ニキビの治療方法についてまとめてみることにしました。 殺菌療法 外用の抗菌薬である(クリンダマイシンやナジフロキサシン)が外用薬として外から使われ、内服薬のミノマイシンなどが内側から効かせる薬として使用されます。 ピーリング治療 最近の治療として普及してきている方法です。過酸化ベンゾイル :Benzoyl peroxide(ベピオゲル、デュアック […]

異物の誤飲

「爪楊枝(つまようじ)を呑み込んだんですよ…」(23歳 男性) 研究室の後輩から受けた衝撃の告白…!! 爪楊枝を呑み込む。その大きさからは、なかなか考えることができない誤飲ですよね?? なぜこんなことが起きたのでしょうか?理由を聞いてみると… 「いや、バーベキューをしてたんですよ。その時にスライスされた玉ねぎを、肉に包んで食べてて、野菜にしては固いな…と思ったんです。吐き出したら、爪楊枝が0.8本 […]

細菌性食中毒

以前に、ウイルス性食中毒について投稿しましたが、今回は細菌性の食中毒について書きます。 細菌とウイルスの違いはご存知でしょうか? 簡単には、それ単体で増殖できるのが、菌であり、人や動物の生細胞に寄生すること増殖するのが、ウイルスです。 菌といえば抗菌薬で除菌できますが、ウイルスは抗ウイルス薬が必要です。ただ、食中毒で抗菌薬が出ることはあっても、抗ウイルス薬が出ることはほとんどありません。 Chec […]

腸内細菌の科学

いきなりですが、ペットを飼ってますか? 犬、猫、ハムスター、金魚、鯉…いろんなペットいますよね。 でも、もっと身近なところに、すべての人類がペットを買っています。 大きさは、まとめると野球ボール程ともいわれ、重さ約1キロ、数でいえば100兆。 そう!タイトルにもある通り、腸内細菌です。 皆さん、腸内細菌を意識してますか?一生寄り添うパートナーですよ? ちゃんと世話してますか? そんな一生のパートナ […]